聖地巡礼 峠茶屋

衰微した日本の霊性を再生賦活させる内田樹先生・釈徹宗先生による「聖地巡礼ツアー」に参加している巡礼部および関係者によるブログ。ロケハンや取材時の感想などを随時お伝えしていきます。

ロケハン、どうでしょう?(6)

第5回 隠れキリシタン大阪編

~雪と格闘~

 久しぶりの更新です。最近、じつは仕事で「地獄」を見ていました。
 なんとかロケハン日記を書ける時間ができたので、書いてみます。ご参照いただけましたら、幸いです。
 今回の更新で、現在までの「聖地巡礼ロケハン日記」は終了になります。
 この後は、いよいよ両先生の第4回までの聖地巡礼を振り返った「記念対談」を順次更新していきます(すいません、ちょっと遅れ気味です)。よろしくお願いします!

○キリシタンの「中心地」
 前回の隠れキリシタン長崎編から4か月。さらにその深淵を覗くため、次に選んだ取材地は、「京都」と「大阪」でした。
 ちょっと意外な気がするかもしれません。ただ、当然のことながら、戦国時代末期のキリスト教の普及の中心地は「京都」でした。大阪府高槻市を中心とした有名なキリシタン大名である高山右近の領地でも、当時は神社が取り壊され、教会が建てられたほど。そのような場所に残る、わずかな痕跡を尋ねていこう、というのが取材の趣旨です。
 そして今回はこれまでの五里霧中のロケハンとは違い、釈先生もロケハンに同行いただけるということで、勇気百倍。車中でどんなことをお聞きしようかと、ワクワクしておりました。
 ところが、必ず何かが起こる我々のロケハン、うまくいくわけない(笑)。今回の原因は、季節外れの雪。そう、日本中が白く包まれた雪の日にぶつかったのです。
 なんとか無事に大阪についてホテルにチェックインしたものの、駅からホテルまでの道は「シャリシャリ」。部屋から外を見ると、それはもう真っ白。相棒とも合流して、とりあえず明日の判断、ということになりました。

○京都で最初にやったこと
 当然ですが、結果は当然「大雪」。がび~ん。とりあえず相棒とホテルのロビーで相談し、まずはホテルからレンタカーをキャンセル。釈先生と待ち合わせをしているお昼頃までにできるところまで行こうということで、とりあえず電車で京都まで移動することになりました。
 もう、「とりあえず」ばっかり……。

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雪の京都駅


 しかも、京都で最初にしたのは、デパートで靴下を買ったこと!
 大雪の予報にかかわらず、なぜか布製の靴で来ていて、「おれ、やばいわ、染みてる」というわけです。最初は靴を選んでいましたが、春ものしかなく、結局は靴下に。当然、予定は押しまくりです。完全に「水曜どうでしょう」気分です。
 そこからはずっと、しゃりしゃり、しゃりしゃり……雪の中で長い時間歩くのって、会話も減るし、疲れるし……。でも、なんとか予定の一部はなんとかクリアできました。
 釈先生と合流してからは、釈先生が運転してくださり、京都・高槻などをまわりました。釈先生もいろいろ感じるところがあったご様子。よく考えたら、ワンテーマでふたつの場所をめぐるというのは「聖地巡礼ツアー」ではじめてなのです。もちろん、お昼休みの「試食」も充実(笑)。
 釈先生、ありがとうございます!

○生産性のない会話
 釈先生のおかげで、なんとかロケハンの予定の「大部分」をクリアすることができた我々ですが、当然残っている場所もあるわけで……。
 釈先生とお別れした後、午後5時に「高槻ミスド会議」が開催されました。

相棒:いやあ、雪はきびしいなあ。
管理人:どうする?これから。先週末は北海道に出張だったし、疲れたなあ。
相棒:明日も絶対、雪残っているよ。しかも、山のほうにいくんだろう?
管理人:でも、やはり取材地は絶対に全部いかないと。東京に一度帰って再びっていうのは、精神的にきびしいし……。
ふたり:まあ、とりあえず、ポンデリング食うか。

 そんな生産性のまったくない会議で出た結論は、
 直接の責任者である管理人は残り、相棒は東京に戻る、という結論でした。
 管理人に「悪いなあ」と言いながら、相棒が新大阪駅の新幹線改札口をくぐった直後、「弁当」と「ビール」をいそいそと買いに行った相棒の姿を、僕は一生忘れることはないでしょう。

○フロントマンとの会話
 そして、ひとりトボトボ歩きながら、朝いたホテルに再度チェックイン。すると、男性があたたかい贈り物をくれました。それは、なんとチョコレート。そう、今日はバレンタインデーでもあったのです。

フロントマン:こちら、よろしかったら、どうぞ。
管理人:バレンタインチョコですか……。あ、ありがとうございます。あの、フロントのあちらに若い女性もいらっしゃいますが、せめて……。
フロントマン:あ、呼んできましょうか。
管理人:い、いや、余計寂しくなるからいいです。でも、うれしいです。もらえるのこれだけですから。
フロントマン:いやあ、ぼくも誰からももらえないんですよ。
管理人:あげてばかりですか……。お互い、がんばりましょう。

 という、何をがんばるのかわからない、さらに生産性のない会話をした、翌日。
 なんとかレンタカーでロケハンをはじめた管理人。大阪の都市部は、道路に雪もほとんどなく、快調な運転でした。これなら午前中にさらっと現場を見て、お話を聞いて、夕方には帰れるかな……。
 ええと、もうお気づきかと思いますが、そんなにうまくいくわけはないんです(笑)。

○「シャリシャリ」アゲイン
 それは茨木市の山の中に入っていく途中の国道。ナビの指示した方向を見ると、とても細い道。「え、この道を行くの?」
 当然そのような道には、雪がたくさん残っているわけです。
 そこは、国道からちょっと入った、ちいさな集落のようなところ。しかも急な坂道。おそるおそる登っていくと、すぐに竹藪が見えてくる。
「この道、なわけないよね……」
 そして、なんと、戻ろうとすると、後ろから地元の方のクルマが登ってくる。クルマ一台がやっと通れるその急な坂道では、そのおじさんには面倒くさそうに「はやく前へ進め」とのジェスチャー、気の弱い管理人は、さらに奥へと押し出される始末。
 さらに奥へと入ってクルマを止めた管理人。
 ……さて、どうしよう?……Uターンしかない?
 半端なく細い坂道で、急な坂道でタイヤから出る「しゃりしゃり」という音を聞きながら、慣れないレンタカーでUターンをしたわけです。
 正直、ちょっとでも滑ったら、もう竹林へまっさかさま…とまでは大げさですが、間違いなくガードレースをこすりはしていたでしょう。行くぜ、始末書!
 でも、さすがレンタカーだけあり、ブレーキもばっちり。スタッドレスでないクルマでも(予約できなかったのです)、きちんとブレーキがききました。
 個人的には、もうここでロケハンは終了したい気分……。しかも国道まで降りたら、ナビはまったく別な場所を示しやがる。いなせな奴だぜ、ナビってやつは(笑)。

 

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茨木市には隠れキリシタンの里があるのです。

○では、こうご期待!
 そんなロケハンではありましたが、無事、訪問予定の史料館の方との打ち合わせも終わり、かなり有意義な巡礼になることを確信できました。
 そして実際……それは、書籍ができてからのお楽しみですかね。でも、いつになるんだろう(苦笑)。それも含めて末永くお待ちいただければと思います。でも、奥が深いですよ、日本のキリスト教は!

  そんなこんなでロケハン日記もしばらく終わりです。
  繰り返しになりますが、来週からは、両先生の特別対談を週1回のペースでアップしていきます。その先には、『聖地巡礼~熊野編~』の発売も見えてきております。 
  みなさんぜひ、期待してくださいね。では、引き続きよろしくお願いいたします!